つゆ

2025/5/25

はてここは海の近くだったか?声の主を確かめるため窓を開けると川の上を一羽のとんびが旋回していた 昨晩作ったうど…

かわいそうな街

2025/3/29

若い彼女たちの体の輪郭だけを 彼らの瞳はくり抜く 夜毎、彼女たちは名前を呼びきゅるきゅると踊る ぽかぽかと暖か…

2025/2/26

生まれ変わったのはなつ もうすぐ初めての春がくる あきもふゆも誰かが教えてくれたけど 春、だけはわかる 他のど…

外も中もない

2025/1/7

悲しくて悲しくて涙をぐにょりとしぼりだしても それをしまう場所もない私の家 ベッドや椅子や絨毯やワイングラスや…

2024/11/12

浮気性の妻を愛する音楽家は かもめが枕元で鳴くのをたしかに聞いた 仕方なく瞼を持ち上げたら見慣れた壁 四角い部…

眠り過ぎた日に

2023/12/12

今もどこかで揺れているまっくらな海の真ん中に 満月色のイチョウの葉を落として遊びましょう 雨が名残る風の中を駆…

2023.6.18

2023/6/18

私にまたこの時間が巡ってきた。 段々と訪れるのが遅くなった宵の時間は、昼間の熱を持った空気から紫やオレンジの夕…

2023.5.30

2023/5/30

久しぶりの赤ワインがそろそろと喉元からみぞおちへと降りて行った。 その遠慮がちな様子に少し苛立つ。上質で美味し…

とらわれない

2021/1/17

世は土の時代から風の時代に変わったという。 なんだか良さそうである、なんだか。 強くて弱くて、冷たくて熱い。匂…