はてここは海の近くだったか?声の主を確かめるため窓を開けると川の上を一羽のとんびが旋回していた
昨晩作ったうどんつゆのあまりの鍋にレンジで軽く解凍した米を放ち、溶き卵を回し入れたものを丼に移す 明日の朝ごはんに一杯分残す
まだとんびは鳴いているからそれを眺めながら立ち食いする
雲が龍の顔の形をしている
写真をとろうか
のちに見返してもただの空の写真となるだろう
それを送りたい相手がいるようないないような
もういいや
それよりもこのつゆ
昨日は目覚めた瞬間から腰も背中も胃も腹も痛くて原因もわからず怖かった
胃 背中の痛み と検索もした 煽られて終わるだけ
このつゆは私と過去の私とうちの冷蔵庫が協力し完成した素晴らしいつゆである
冷凍していたホエー、鳥を煮た煮汁を鍋で溶かし煮立たせ出汁パックを入れ冷凍していた刻みネギと冷凍していたしめじと冷凍していた刻みお揚げさんをそれぞれバサバサと入れ塩をつまみ入れる 中腰で胃をさすりながらもできあがる
私はいかにこの私が素晴らしいかをその鍋を見つめながら讃える
こんな素敵な私もそのなんか怖そうな病気で3年後にはいないかもね
その夜出血があり結局今日の体調不良は生理のせいだったと分かる
この間医者はカルテと私を交互に見ながら卵があと何個あるか調べてみることをお勧めします と言った これから妊娠を望むなら
わかんないけど仮にあと8個だったら?それを知った私は?カウントダウンの毎日の始まり?医者
ぼくわーなにをおもえばいんだろーぼくはーなんていえばいんだろー
私は暗い部屋で一人テレビを見るが震えたりしない 淡々と毎日を重ねている
もうとっくにとんびはいない
手前のマンションの屋上ににもう一羽現れ、鳴いていた方に飛んでいき少し追い回してから二人してどこかにいったのだ
まだ痛む腹をさすりながら本の続きを読むため窓をしめる