知らない場所を一人で歩くのが好きだ。
そして文字通り知らない町を歩いている時に必ず頭の中で流れるのがこの曲。
しーらなーいまーあぁちーを あるいーてみーたあいー
誰もいなければこっそり歌う。大体自分が予想してた歌声から大幅にズレる。
いつもこの歌なんだっけ?と思っていたので調べてみると『遠くへ行きたい』というテレビ番組のテーマ曲だった。
そういえば早起きした日、どこか田舎の山の間を流れる川の映像と共に
この歌を聞いたんだった。夏空で、流れる水の冷たい温度が感じられた。
そこにこの曲。やってくる寂寥感。
半年前に借りた台所と和室だけの簡素なアパート。
遅い昼食は白飯に佃煮をのせて薄い茶をかけたのをすすった。
あの人は今日も帰ってこないだろう。
妹みたいなもんだよ、なんて神妙な顔しちゃってさ。
手洗い場の電球は3日も切れたまま。
お前は踏台なんて必要無いなって私の滑稽な程長い手足を撫でながら
あんたは笑って言ったよね。
あの子は爪先立ちしたって届かないから、いそいそと替えてあげるんだろう。
西陽が眩しい。部屋に伸びて侵入する電柱の影に入るように少しだけ顔を傾ける。
カーテンを引くのはかったるい。全部かったるい。
「し らな い‥ま あぁち を あるい てみ たあい‥‥」
である。
とにかく、である。
ちなみにト書きには[膝を抱えて][溜息を吐くように]とありますね。
アドリブで十分に間を取ってやってみてもいいかもしれません。
冒頭の話に叩き起こして引き摺り戻すが、知らない町を歩くと『なぜだか切なくて苦しい』気持ちが付いて回るのは私だけだろうか。
特に一人歩きのアツい時間(エモーショナルアワーと名付けたい)は陽の低くなった夕刻だ。
醤油で炊いた煮物の香りや一番風呂であろうキリリとした石鹸の匂いと湯気が混じったのが揺蕩ってきて、それこそ震えてくるのである。
コンディションによっては泣いちゃう時もあり⭐︎
これだから1人歩きはたまらない。フィルムカメラを手に、最も楽しくて幸せな時間である。
あぁ楽しいなんて幸せなんだと感じる事を他に挙げると
・大好きな喫茶店でゆっくり本を読む
・好きな音楽、映画に触れた後、自転車に乗って家に帰るまで
もっとあると思ってたが二つしか思い浮かばなかった。信じたくない。
結果、全部(2個)1人で過ごしている時間だった。
このことについて、もしかしたら自分はとんでもなく冷酷な人間なのではないかと思い身近な人2人にポーカーフェイスを装い、いっちばん楽しいのって何してる時?と質問してみたら、答えは同じようにシーンは違えど1人でいる時だった。
考えてみれば大体の人がそう言うような気がするが類は友を呼ぶし、「気の合う仲間で酒酌み交わしてる時っしょ」とか言う人もいるのだろろうか。
この質問の答えは1人か複数か、でしかない。国や民族が違う人にも聞いてみたいし、叶わないが生きている時代が違う人にも。
こういうシンプルな事は意外と日常の会話で生まれない。
そんな事をここで書きたい。私は随筆を書きたい。
これから少しづつ、自分がどういう人間かをここで綴りたいと思っています。
字にする事で知らない事や見過ごしていたものに目を向けたいのです。
そしてそれを惰眠の傍らにでも読んで頂きたいです。
最後に、このホームページの作成にあたり、夢を叶えてくれた2人の美しい友人にありがとうを伝えます。

坂と猥雑さが混じり合うでもなく共存していて何度も足を運びたくなる町。