他人が何を考えているか知りたい。
できることならすれ違う人全員に今何考えてました?と聞いて一日過ごしたい。
へぇ。とかそうですか。で終わらせると怒られたりするのだろうが率直な感想を述べたいからそれは仕方ない。興味が湧いたら少し道の脇に移動してもうちょっと話を聞きたい。
それから他人の家にも入りたい。
裁判員制度のように原則として私が玄関に現れたら迎え入れなけらばならない。あからさまに嫌な顔をして頂いて全く問題無いが、おもにお宅の外観から素敵!おもしろそう!と興味を持ってピンポンするのだからそんなに不愉快な出来事でも無いと思いますし、「可愛いー」「素敵ー」とだけは言いますが他は何もしません。見るだけ見てお暇致します。片付けも無用なのでどうかお気になさらず。そうだ、分かりやすいようにたすきでもかけてお邪魔しますね。
未知という名の石をオセロのように順番にひっくり返していくようなイメージ。
タワーマンションの窓のあちこちに明かりがついているのを遠くから見る度に、あぁ人間の頭上に人間、そのまた上に人間がいて日々の生活を繰り返しているのか、いっぱいオセロできるのになぁ。と思う。
私は自分の事だけしか知らないで過ごしているのが怖い。
なぜだろう。自分以外の人間の存在を確かめて安心したいのだろうか。ただ単に野次馬根性?
生活を続ける事は困難で面倒臭くて、その中でたまに嬉しい事があるくらいで。
多分きっと私が知りたいのはその「嫌な事」と「良い事」のその中間にあるもので、それを愛おしいと感じたいのだと思う。
冷蔵庫の卵っていつ買ったやつだっけ。みたいなのを聞きたいし、トイレの窓のへりにいつ置いたのかわからない埃をかぶったガラスの小さな置物を見たい。そこに至るまでの時間を可愛がりたい。
私は何かぬるい事を言っているのだろうか。人には気持ちや身を置いている場所が必ずあると信じているが、そうでない事もあるのだろうか。
やっぱり自分1人で考えてもわからなくて怖い。
悲しいかな、この世は他人にぶしつけな話をするのはやってはいけない部類の行為、という事なので地道に焦らずオセロ活動を続けていくしかないみたいだ。